大キレット~北穂高~涸沢岳のアスレチックルート [山登り]
2018年の後半はレースの予定がないので
月一で山行計画を考えていて
6月の燧ヶ岳に続き7月はかねてから挑戦したいと思っていた
大キレットにアタックする事にしました。
⁻
キレットとは外国語っぽく聞こえますが日本語なんです。
信州長野の言葉で「切れ戸」という山の稜線がスッバリと切れ落ちた
崖の事をさします。
北アルプスには「八峰キレット」「不帰キレット」そしてこの
「大キレット」がありましてこの3つを総称して
「三大キレット」と呼びます。
⁻
その中でも一番デンジャラスなコースとして有名なのが
南岳と北穂高岳を結ぶ「大キレット」!
一般道では一番の難コースとも言われる大キレット。
どれほどスリリングなコースが待ち受けるのか?
一泊二日のソロ山旅でした。
一泊二日のソロ山旅でした。
⁻
⁻
世の中は三連休ですが、15、16日の日曜と月曜二連休の私は土曜日仕事が終わると
岐阜県側の北アルプスの玄関口である、新穂高温泉を目指します。
スタートとなるのは「新穂高センター」なので周辺の駐車場に停めたいのですが
5年ほど前と比べると駐車スペースが減りこの日も結局
1時間余計に歩く事になる鍋平高原の駐車場がスタートとなってしまいました。
⁻
2時間ほど仮眠した後の午前2時30分
真っ暗な山道をヘッデンの灯りを頼りにスタートです。
⁻
上高地に比べると歩いている人の数は少なく
この日も同じ時間帯を歩く人は10人といませんでした。
⁻
そんな寂しく真っ暗な林道を黙々と歩きます。
⁻
2時間もすると空が明るくなりいつの間にか日の出時間を経過し
はるか遠くの笠ヶ岳山頂が光っていることに気が付きます。
去年、双六から縦走した時の笠ヶ岳はガスガスの山頂でしたが
この時間の山頂からの景色はすごいでしょうね。
⁻
歩き出して3時間30分の午前7時ジャスト
「槍平小屋」に到着
この小屋を見るのはこれで4回目かな?
いつも見慣れていたクマのキャラクターの看板が無くなってますww
最近はクマの被害が多いから外しちゃったのかな?
とりあえずここでザックを降ろして小休憩です。
この槍平小屋からはルートが分かれていて
道なりに行けば槍ヶ岳へ繋がるルートと
右に折れれば私が目指す「南岳」への南岳新道となります。
今回初めて歩くルートですから気を引き締めてレッツラGO!
⁻
ぐがぁ!
⁻
いきなりルートミスですww
南岳新道のルート注意書きの看板があったのですが
その裏手に沢登りのルートが見え
ステップ跡もあるのでてっきりそこがルート始まりと思い
泥で滑りやすい藪の急登を這い上がる事約30m
辿り着いたのは這い上がる事もできない壁・・・
⁻
どうやら私がたどったのは私同様にルートミスした人のステップだったようです。
下まで戻って沢の水で泥んこだらけとなったシューズを洗っている時に
正規ルートの整った林道が延びてるのに気づきました。
林道から南沢に出るとギラギラ太陽が青空に映えます。
下界は連日35℃の猛暑日が続いてます。
すでに標高が2000m越えですから下界より10度以上涼しいはずですが直射日光の元では
肌がジリジリ焼ける感じです。
林道は荒れてるから注意!の看板がありましたが
前月歩いた燧ヶ岳の見晴新道に比べたら快適すぎますね(笑)
視界が開け下を見ると先ほど休憩していた槍平小屋の赤い屋根が見えます。
森林限界を超えてくるとそこは天空のお花畑ですね~
⁻
⁻
槍ヶ岳へつづくルートにも設置されてる救急キット箱
⁻
⁻
午前10:30
ようやく南岳の稜線が見えてきました。
ここから一気に200mほどの標高の急登となります。
行動時間は8時間経過ですので少々バテバテ感があるので
雪渓でかき氷食べて気合を入れますww
⁻
⁻
急登をもがくように進む事1時間・・・
ようやく稜線に建つ南岳直下の「南岳小屋」に到着ww
⁻
⁻
ここで30分休憩です。
売店で1リットル200円の水を2リットル購入
⁻
この日はスタート地点の延長からの1時間増しや
南岳新道のルートミスでかなり時間が遅れ気味です。
しかしここからのルートはこの山旅の一大イベントの
「大キレット」歩きですから身を引き締めると同時に
キャップをヘルメットに交換し稜岩へアタックです。
目の前には穂高岳のゴツゴツとした岩山が鎮座し
その姿はまさにラスボス感があります。
そしてそこへ続く稜線の一般道が大キレットです。
⁻
⁻
スタートはいきなり20mほど一気に下降する鉄ハシゴ
⁻
愛知からきてる10人くらいのグループが前にいて
少々渋滞気味ですね。
⁻
振り返るとこんな感じww
⁻
湧き立つ雲がいい感じです。
雪渓を歩く事はないのですがゴツゴツした山肌と
ハイマツの緑にベストマッチしてますね。
そして岩場のスロープを下り高度を300mほど下げると
そこは最低コルとなります。
南岳稜線スタートして45分
コルからその稜線を振り返ります。
⁻
ホント下りは楽でいいですよね~
⁻
⁻
そしてこれからは登り返しの始まりです。
⁻
急登の岩場を黙々と進みます。
愛知のグループは序盤にパスさせてもらい
今度は外人女性の後に着く感じです。
この方もソロ?一人黙々です。
あっという間に距離を詰めてしまったのですが
時々ルートを間違えるので
「Hey! turn right!]
とフォローすることにww
かたくなにルートを進む女性の後をフォローしながら
気が付けば「長谷川ピーク」
このコースでの有名ポイントで大きな一枚岩に
「Hピーク」とペイントされてます。
⁻
チョットした休憩ポイントでもあるのですが
そこで外国語で大騒ぎしてたのがこの女性の彼氏でしたww
⁻
⁻
⁻
二人の後に着くと自分のペースで歩けなさそうなので
ひと休みしてる二人の先を進みます。
とにかくこの日の序盤の遅れ回復とデンジャラスなルートの為
なかなかカメラを取り出す余裕がなくて
極端に写真の数が少なくて反省(ノ∀‘)ペチョン
「長谷川ピーク」を過ぎるとこのコースの核心部が続きます・
いきなり滑り台の様なナイフリッジを進みます。
左上のツンとしたところが「Hピーク」
そこから丸マークを頼りに5階建てビルを下る感じです。
⁻
要所、要所にはクサリ、手すりがある為
思わず「助かるぅぅ」の声が出ますねww
⁻
こういうルートではよそ見は厳禁って考えてますが
ついついお花畑に目がいってしまいます。
案の定、この後ルートマークを見落としてますたwww
⁻
さあ!最後の北穂への取り着きです。
右側のツンとした南岳の稜線からスタートして左のツンとした「Hピーク」
そこから滑り台をズズズ、ザザザと来ての・・・
⁻
⁻
岩場にスッテプだけのルート。
クサリはあくまでも補助ですね。
⁻
でもこの日は天候に恵まれました。
ガスに包まれる事も無く
強風にあおられる事もなく
でも紫外線は強く肌の露出部分はより黒々してしまいましたが
南岳稜線スタートから約3時間の15時11分
⁻
無事「北穂高岳小屋」に到着でーーす(^_-)-☆
⁻
⁻
当初の予定はこのキタホをクリアーして所要時間2時間費やして
隣の「穂高岳山荘」で宿泊を計画してましたが
スタートの変更やルートミス、後半の渋滞で時間ロスが多かった為
ここ「北穂高小屋」で宿泊に変更しました。
⁻
⁻
宿泊手続きをしてからの・・・
自分への「お疲れさん会」
カンパーーーーイ(*´ω`) どひゃアアア――
⁻
キタホのテラスの目の前は「北アルプス表銀座」の山々の大パノラマです。
⁻
眼下をのぞくとそこは涸沢カールが広がります。
人気の涸沢のテンバは5割程度の埋りって感じですね。
⁻
しかし山小屋は盛況でして
私の予想では布団一枚は確保できると思ってましたが
下界の猛暑から逃げて来た人は多く
なんと!布団4枚のスペースに男7人の振分となりましたwww
⁻
17時からの夕食も食堂を4回転させてで
私の番は18時からでしたが
3000m上空の山小屋でこのメニューです!
生姜焼きのプレートにはパスタと人参の付け合わせ
そしてしっかりサラダが付いて御飯、味噌汁お代り自由です。
⁻
日没時間に近づく19時過ぎ・・・
テラスにはいつまでも人があふれ
夕日に染まる雲海にあちこちからため息がもれてました。
この時間になるとガスが多く流れ込んできてましたが
一瞬の切れ目からは「槍ヶ岳」が夕暮れに映えてました。
夜のとばりが小屋にも下りてきましたが
談笑がいつまでも続く中ふと外に出て空を仰ぐと・・・
いやいや!いい感じに星がまたたいてます
右下の灯りは安曇野の市街地からの光のようです。
⁻
⁻
右の建物は北穂高小屋の部屋のあかりです。
空には天の川もうっすら写ってます。
⁻
⁻
右側のピークは「常念岳」
その左の谷間にある白い灯りは「常念小屋」ですね。
⁻
⁻
この日もザッグに密かに持ち込んだのはペットのフルボトルワインww
テラスで21時の消灯時間まで星空を肴に
ラグジュアリータイムを満喫させてもらいました。
⁻
⁻
酔った勢いで寝ちゃえば4枚布団に7人も怖くないって
考えてましたが山ではそれほど酔えず
余計に神経が冴えてしまいいつまでもウトウト状態で
そのまま朝を迎えたしまいました。
⁻
⁻
キタホのテラスからは遠くに富士山が!
手前は「八ヶ岳」だよね?
⁻
目の前には昨日はガスが流れ込んでスッキリしなかった
北アルプスの人気もの「槍ヶ岳」がド――ン!!
⁻
⁻
この日の予定は北穂高岳を踏んで涸沢岳を超えて下りこみ
「穂高岳山荘」を経由して白出沢ルートで下山します。
その「北穂高岳」3106mに5時15分
小屋から5分と離れてません。
ここからも北アルプスの大パノラマ360度です。
⁻
頂上から涸沢岳の方角です。
左のガレ場のテントはなんとここが「北穂高小屋」のテンバなんですってww
小屋から往復1時間だよねww
キタホから涸沢岳へ続くルートも昨日の大キレットに劣らない
ゴツゴツルートの連続です。
⁻
3つほどピークを超え
最後の岩稜に取り付きます。
⁻
何人かパスしながら歩いてきましたが
ここでもかたくなに歩く外人女性ww
⁻
昨日の外国人女性でしたww
結局、頂上までフォローする形となりましたが
⁻
午前6時50分
「涸沢岳」3110m登頂(^_-)-☆
この涸沢岳は国内標高第8位でしてキタホは実は標高9位なんですね。
という事で今回の涸沢岳登頂で国内標高1位から9位を踏んだ事になりましたwwww
ちなみに10位は「槍ヶ岳」と「南岳」の間にある
「大喰岳(おおばみだけ3101m)」です。
今回足を伸ばせば8位9位10位と同時にクリアも出来たのでしょうが
またの機会かな?
⁻
⁻
ここまで来ると富山側の「北アルプス裏銀座」山々がお出迎えです。
眼下にはすでに5回ほど訪問している
「穂高岳山荘」の赤いお屋根が目立ちますね・
そして空の彼方にはここでも富士山が見えてます。
⁻
⁻
⁻
午前7時ジャスト
穂高岳山荘 30分の休憩
午前11時10分
新穂高センター
ロープウェーで鍋平高原駅下車して
午前11時55分 鍋平高原登山者用駐車場
⁻
⁻
三大キレットの「大キレット」!十分楽しめました。
普通の山歩きとは違ってカラダ全体で岩に取り付く
岩稜歩きは目と鼻の先が岩ってケースも多く
まさに五感を駆使しての山登りだと思います。
それだけに山を感じ山と楽しむってイメージですね。
「山のグレーディング表」では最高位のルートですが
それほど意識せず歩けました。
ただそれは天候に恵まれたりすれ違う方々からの挨拶や
声掛けが注意喚起であったりしてモチベーションを
維持できたからだとも思ってます。
⁻
今回も多くの方々と言葉を交わしたり
小屋でも夜遅くまで山談義に花が咲いてました。
みなさんありがとうございました。
またどこかの山でお逢いしましょうね。
⁻
⁻