永遠の0 [小説]
ここ数年来の感動でした。
小説(フィクション)を越えた小説は真実の歴史によって語られる。
今年4月に読んだ「永遠の0(ゼロ)」
本の裏表紙には
「娘に会うまでは死ねない… その男はなぜ自ら零戦に乗り
命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた…」
最初この本を手に取った時には推理小説の類と思ってましたが
読み進むにつれゼロとはすぐに当時の日本海軍
大日本帝国の艦上戦闘機零戦のゼロに気付きます。
そして次から次に出てくる実在のエースパイロットの回想。
太平洋戦争の実情、エリート将校、大本営の不甲斐なさから
特攻として大空に散っていった若き命。
太平洋戦争初頭、ゼロ戦は無敵と言われました。
敵国の戦闘機の航続距離が300~400kmに対し
ゼロ戦は1000km以上の飛行が可能でした。
しかしそれはパイロット一人で400km近く飛行し続け
作戦敢行し帰路につくという過酷な労働につながりました。
ゼロ戦はするどい空中反転で簡単に敵機の背後に着く事ができますが
それは戦闘機の鉄板が薄く軽い為である。
敵国の戦闘機の操縦席周りはパイロットを守るため鉄板がより厚くなり
機銃を10数発撃たないと撃墜できないが
鉄板の薄いゼロ戦は一発の機銃で撃墜された。
これらはこの作品から知った事ですが当時の大日本帝国は
パイロットを道具にしか考えておらず後の特攻へ繋がっていきます。
この史実になぞらえながら
「絶対に生き残る、だからお前も生きろ!」
と言い続けた主人公の祖父がいかに特攻と化して行ったのか…
終盤に明らかになる驚愕の事実に万感の思いを馳せます。
戦争とは何か?愛するとは何か?
現代社会の愛国心の畏敬に警鐘を鳴らしその根源を問う。
涙なくしては読めない一大叙事詩。
涙ながらにエピローグを読み終えた誰もが、
もう一度プロローグを読み返すでしょう。
そして、2013年
映画化が決定されました。
注:このyoutubeは映画化を熱望するzeroandzeloさんが2010年に作った
架空の予告編で動画部分は本作品とは関係ありません